妖魔の長、夜の君と呼ばれたそれとの戦いは
人類の勝利で終りを迎えた。
しかし、夜の君はその散り際に
汚れた血を撒き散らし禍根を残す。
その青き血を浴びたものは姿と性質を変え、
邪妖と呼ばれる存在に転じ、
人々から夜の世界を奪うモノとなる。
以来、この地は光差す時間はヒトが活動し、
闇に染まる時間は邪妖が蠢く、決して眠ることのない
“よるのないくに”となった。
青き血を浴び、“吸血”という呪われた能力を得た少女は、
“よるのないくに”でヒトのために生き、
夜の生贄となる一人の少女のために戦っていく。
地図に存在することのない“よるのないくに”。
これはそこに生き、戦い、その後誰にも語られることなく、
歴史の狭間に散った二人の少女の愛の物語。
その真実の愛にもとづく物語は、何よりも悲しく、月よりも美しい───